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−日本国籍の取得−


(1)帰化
(2)認知による日本国籍の取得
(3)出生届提出による日本国籍の取得
(4)もしかしたら日本国籍を得ているかもしれない(主なもの)。
(5)国籍の再取得(日本人の実子として、海外で出生。日本側に出生届け無)

はじめに
・日本人の実子(出生後に日本人の父から認知された。又は、海外で出生し、届け出をしなかった)
・外国人配偶者の実子(日本人との婚姻する前に、生まれた)が、小学校に通う前に日本で生活している場合は、
 できるだけ早めに帰化や国籍取得をしておくことを勧めます。
 彼/彼女が成年になり、結婚するときは、日本国籍者ではないため、書類を揃えるのに大変苦労することになります。
 (国籍国の事情に疎くなり、言葉を話せないことがあります。又、親御さんとの関係が疎遠になって
 頼れないケースもあります)
 彼/彼女が、日本人と結婚するときは日本人同士の結婚、同国籍の人やそれ以外の国籍の人と結婚するときは国際結婚、
 という感覚になるらしいです。
 親御さんは、是非、早めに取り組んでください。



(1)帰化

法務大臣へ帰化を申請(申請は、地方法務局国籍課など)することによって、国籍を取得することです。
尚、下記の条件に当てはまっても、あくまでも裁量なので、許可になるとは限りません。


A 原則
 (1)引き続き5年以上日本に住所を有すること
  基本的に、「就労」又は「身分」の在留資格を得ている必要があります。

 (2)20歳以上で、本国法によって能力を有すること
  日本の法律でも、その外国人の本国の法律でも、成年年齢であることです。

 (3)素行が善良であること
  道交法上の罰金は、微妙なところです。

 (4)自己又は生計を一にする配偶者その他親族の、資産又は技能によって生計を営むことができること
  自分の生活能力だけではなく、配偶者や家族の生活能力で、生計を営める、ということです。
  このことによって、家族全員で申請しなくても、単独で申請することが、可能ということです。
  例えば、父母が外国籍で、学生である子供のみの申請
      夫婦とも外国籍で、片方の配偶者のみの申請

 (5)国籍を有せず、又は日本国籍の取得によって、国籍を失うこと
  重国籍者を防ぐということです。
  国によっては、軍役に服していない者は国籍を離脱できない、
  未成年の間は国籍を離脱できない、旨の法律がありますので、
  注意が必要です。
  又、外国人が、その意思にかかわらず、その国籍を失うことができない場合、
  日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、国籍の離脱が
  できなくても、帰化を認めることがあります。
  例えば、インドシナ難民のようなケースです。
 
 (6)日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した
  政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て
  、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入
  したことがないこと

B 日本に特別の血縁又は地縁のある外国人
 Aの(1)の条件が、緩和されますーーー5年未満でも可
 ・日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する者
  例えば、親が日本国籍であったケース

 ・日本で生まれて、引き続き3年以上日本に居所を有するか、その父又は母(養父母は除く)が、
  日本で生まれた者
  例えば、親が外国籍のケース
 
 ・引き続き10年以上日本に居所を有する者

C 日本人の配偶者である外国人
 Aの(1)と(2)の条件が免除されますーーー5年未満、20歳未満でも可
 ・引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者
 ・婚姻の日から、3年以上経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を
  有する者
  オーバーステイに関しては、在留特別許可後、5年経過している必要有り、
  という情報があります

D 下記に該当する外国人
 Aの(1)と(2)と(4)が免除されますーーー5年未満、20歳未満、
                   生計能力が無しでも可
 ・日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する者
 
 ・日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時、
  本国法により未成年であったもの
 
 ・日本の国籍を失ったもの(日本に帰化した後、日本の国籍を失った者を除く)で、
  日本に住所を有する者
  例えば、日本人が外国人と婚姻したことにより、日本国籍が消滅し、
  外国人配偶者の国籍になったケース
 ・日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者で、その時から
  引き続き3年以上日本に住所を有する者
  例えば、両親が無国籍のケース

  申請前には、必ず、法務局で相談を受けることになっています(いきなり行って、申請はできない、
  ということです)。
  法務局の相談については、予約制になっていることがありますので、あらかじめ、電話で
  確認してください。
  相談後、法務局の側で「申請を受付ても良い」と判断したときに、
  申請書や添付書類の指示があります。

 作成する書類
  ・帰化許可申請書
  ・親族の概要を記載した書類
  ・帰化の動機書
  ・履歴書(居住、学歴、身分、出入国歴、技能、資格、賞罰など)
  ・宣誓書
  ・生計の概要を記載した書類
  ・事業の概要を記載した書類(事業を営んでいるケース)
  ・在勤及び給与明細書(給与所得者のケース)
  ・自宅付近、勤務先付近の略図
・その他、法務局で要求する書類

  添付書類
  ・ 住民票の写し
  ・ 出入国記録(上陸から現在に至るまでの在留資格、許可の種類及び法定の住所機関における
    出入国歴が記載されたもの——法務省大臣官房秘書課個人情報係)
  ・ 閉鎖外国人登録原票の写し——法務省大臣官房秘書課個人情報係
  ・ 都道府県税、市区町村民税の納税証明書、課税証明書、又は非課税証明書
  ・ 公的年金保険料の納付証明書——直近1年分
  ・ 国籍関係を証明する書面(パスポートの写し)
    出生証明書、婚姻証明書(父母)、死亡証明書(父母)
  ・親族が日本人の場合
   戸籍謄本・除籍謄本・住民票
  ・申請者、申請者の父母などが、日本の区市町村役場へ戸籍に関する
   届出をしている場合
   記載事項証明書(例えば、出生届、死亡届、婚姻届、離婚届、縁組届などです)
   ・運転免許証を持っている人は、過去5年の運転記録証明書
  ・土地建物を所有している人は、不動産登記簿謄本
  ・預金のある人は、預貯金残高証明書
・その他、法務局で要求する書類

   本国で、生まれ・育った場合は、日本語(小学校3,4年生程度)のテストを、することがあります。

   注意 日本は、重国籍は認めていません。日本国籍を選択する場合は、
      1 外国の国籍を離脱すること
      又は
      2 日本国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言をすること
      になります。
      ですので、所定の期限までに、いずれかの方法を選択し、市区町村役場で、
      その手続きをする必要があります。
      しかし、2の日本国籍を選択しても、外国国籍が喪失しない場合もあります。
      その国の法律で、「国籍の離脱は認めない」としていることもあるからです。
      そうした場合は、日本の法律では、併有する外国国籍を現実に離脱する手続きを探るよう、
      努めなければならない、とされています。

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(2)認知による日本国籍の取得

子どもは、日本で生まれ育っており、
出生後認知であったので、当時の国籍法では、日本国籍を得られなかったものの、
国籍法改正で婚姻の要件がなくなったのを機会に、
認知だけで、日本国籍を取得できることになりましたので、
「日本国籍をとりたい」というケースがあります。
ただ、父親の協力が得られないときは、ハードルが高い、と感じたこともあります。
法律の改正前は、認知プラス婚姻で国籍取得できたのが、
認知だけで、法務局に届出して国籍取得が可能になったわけです。
それで、父親にも法務局に来てもらうか、
添付書類として基本的に父親の陳述書が必要、
ということのようです。
陳述書の内容として、
知り合った経緯や認知をした経緯、らしいです。
法務局の立場を推測するに、
偽造認知の問題があるので、父親の直筆の陳述書を提出して欲しい、
又は、法務局まで来てもらって、面談を受けてもらいたいのでしょう。
ただ、随分前に認知をし、現在は、父親が家庭を持っていれば
(そもそも、子どもの出産時に家庭を持っていたのであれば)
「認知するのが、精一杯」
「今さら、困るな」
「もう、関わりたくない」
ということで、拒むこともあるかもしれません。
その場合、前述のこと無しで、認めてもらえるのか、どうか。
認められるとしたら、どのような状況なのか。
その事案によりけりになると思います。

ただ、当初から適法に滞在していれば良いのですが、
オーバーステイの経歴があるときです。
例えば、
母親がオーバーステイのまま出産し、
胎児認知をしてもらえず(この場合は、生まれたときに日本国籍)、
すぐに出生後認知もしてもらえないときは、
子どももオーバーステイになっています。
それで、過去、オーバーステイの経歴の有る外国人は、
在留資格を得てから、10-15年経過しないと、
帰化許可のテーブルにはのらないようです。
そうすると、日本人の子どもなのに、
国籍取得届も難しい、帰化許可申請も難しい、
という状況も有り得てしまいます。

話は戻りますが、父親に協力してもらえないときですが、
出産から遡ること約10ヶ月前から、重視するようです。
当事者は、日本に居たのか(二人が結ばれた時期の滞在記録を調べる)
その時の状況等、かなりきわどい質問もあるようです。

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(3)出生届け提出による国籍取得

日本人男性---------フィリピン女性
(夫婦の嫡出子として、フィリピンにて出生。日本側への届出せず)
    フィリピン女性C   
     1929年生・死亡

日本人男性とフィリピン女性の夫婦から、
フィリピンで生まれたフィリピン女性Cは、現在、死亡しているものの
日本国籍を得られるのか?

まず、進め方として
①出生当時の日本の国籍法を検討する
②国籍を得ている国の出生当時の国籍法を検討する
③出生届で済むか、就籍手続きをするか、帰化・国籍(再)取得なのか、国籍確認訴訟なのか
を検討する
です。

Cさんは、1929年生まれです。
当時は、旧国籍法が施行されていまして、
勅令で指定した国(1924.12.1施行。1950.7.1廃止。
米国、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、ペルー、メキシコ)で生まれ、
その国の国籍を取得した日本国民について、国籍留保を規定しています。
しかし、フィリピンは、指定された国ではないので、国籍留保届を提出していなくても、
日本国籍を喪失することはなく、出生届が受付されれば、日本国籍になります。
旧国籍法とS59.12.31までの改正前国籍法の施行中に出生した人が、対象です。
(父系血統主義を採用しており、認知があれば、非嫡出子も含まれる、と考えます。
尚、旧国籍法は、S25.7.1廃止。
又、改正前国籍法の施行中でも、生地主義を採用している国で出生した人を除きます。
尚、S60.1.1施行の現在の国籍法の下で、国籍留保届けをしないで、
日本国籍を喪失した者は対象ではありません。)

それは簡単!と言う話ではなく、有効な婚姻届が行われたか、どうか、です。
数年前の国籍確認訴訟後、フィリピン国内で、子どもが証言者になっての後付けの婚姻届
が増えているそうで、法務局は、「そういう婚姻手続きは有効ではない」、
との方針を打ち出しています。
しかし、フィリピンの役所から、そのものズバリの結婚証明書ではなくても、
夫婦であることがわかる証明書が提出されれば、検討するそうです。
たぶん、フィリピン女性の夫としての滞在記録だとか、住所記録、なのでしょう。

日本人男性・フィリピン女性の夫婦が、
Cさんを出生する前に、有効な婚姻手続きをして出生(重婚での後婚の場合は、注意!!)。
日本側での手続きを知らずに、今日に至る場合は、
Cさんが死亡しても、Cさんの子ども達からの出生届けを提出することは可能。
提出された役所は、調査をした後、出生届け受付けの可否の決定をし、
「可」であれば、日本国籍者となります。
又、Cさんの子ども達も同様な可能性があり、出生届けが提出でき、
受け付けされれば、日本国籍になる可能性もあります。
子ども達については、出生届けの猶予期間があり、Cさんの出生届けが提出されたとき、
その調査期間中は猶予期間に含まれてしまいます。
経過する恐れがあるので、一緒に出生届けを提出した方が良い、と言うことになります。
一気に全員、日本国籍者になる、可能性もあります。
届出する役所は、Cさんの子どもの住所地の市町村役場戸籍課でも良い、
とのことです。

・婚姻中の子ではなく認知の場合ですが、旧国籍法第1条で(ひらがなで書きます)
「子は出生の時其の父が日本人なるときは之を日本人とす・・・」
となっていて、「父」と言うのは、法律上の父で、父母は婚姻中が原則です。
日本には、出生当時の渉外事案に関する法律に、法例があり、認知について、
第8条に形式的要件の準拠法が規定されています。
第18条に実質的要件についての準拠法が規定されています。
(尚、昭和17年に「私生児」から「子の」に改正されており、平成元年にも改正されています)
認知の方式ですが「父又は母の本国法若しくは行為地法」によります。
実質的な要件ですが、当事者の本国法によって定めることとされています。
当時、この件であれば、フィリピンに認知に関して法律があり、定められたとおりに
行っていて、更に、法律上はその要件を備えている、と考えられるときは、認知が認められる可能性があり、
結果として日本国籍を取得している、と考えられることがあります

「否」の場合は、
・家庭裁判所へ就籍手続き
(本来、本籍を有すべき人が、これを有しない場合に、本籍を設けること。
日本国民であれば、無国籍者のみならず、本籍の有無が明らかではない人も、
認められること。
尚、申立人が死亡している場合でも、子孫が申立てをすることは可能。
しかし、裁判官が、「申立権者ではない」との理由で、申立てを却下する可能性が大、です)
それもできない場合は、
・国籍確認訴訟
となります。

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(4)もしかしたら日本国籍を得ているかもしれない(主なもの)。

1 旧国籍法(S25[1950].7.1廃止)の施行時に、
・日本人の父の嫡出子として、外国で生まれた人
ただし、勅令で指定した国(1924.12.1施行。1950.7.1廃止。
米国、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、ペルー、メキシコ)で生まれた人に関しては、
出生から14日以内に留保届けを提出した場合に限ります。
・日本人の父から認知を受けた非嫡出子
ただし、勅令で指定した国(1924.12.1施行。1950.7.1廃止。
米国、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、ペルー、メキシコ)で生まれた人は、
後日、認知届をしていても難しい、と思われます。
・日本人男性と有効な婚姻をした外国人女性
・法律上の父の知れない場合と国籍を有しない場合で、母親が日本人のとき

2 S25[1950].7.1-S59[1984].12.31までの改正前国籍法の施行時に
・日本人の父の嫡出子として、外国で生まれた人
ただし、国籍の生地主義を採用している国で生まれた人は、出生から14日以内に留保届けを提出した場合に
限ります。
ですので、国籍の血統主義を採用している国で生まれた人は、留保届けの対象にはならないです。
参考 生地主義とは、その国に生まれたことにより、その国の国籍を取得。
   アメリカ大陸の国々に散見されます
   血統主義とは、親が、OOO国籍だったら、子も同じ国籍を取得。
   ヨーロッパの国々に散見されます
・日本人の父親が胎児認知をしているとき
  出生後の認知によって、国籍の変動を認めていないです。
・法律上、父の知れない場合と国籍を有しない場合で、母親が日本人のとき

3 現在の国籍法(S60[1985].1.1から)では、父系血統主義から、父母両系血統主義になりました。
 又、生地主義、血統主義に関わらず、父母が日本人で、外国にて生まれた人は、出生から3ヶ月以内に
 留保届けをしないと、国籍を喪失します。日本国籍を不留保のために、日本国籍を喪失した人は、
 国籍再取得届をすることができます
 (ただし、20歳未満の人。20歳以上の人は、以前と同様、帰化許可です)。
 日本での居住が必要です。

 母が外国人で、日本人の父親から、出生後認知を受けた人は、国籍取得届をすることができます
 (ただし、20歳未満の人。20歳以上の人は、以前と同様、帰化許可です。胎児認知の場合は、生まれたときに、
 日本国籍を取得しています)。
 この場合、日本での居住は必要なく、日本国外に住んでいる人は、日本領事館への届出ることも可能です。
 当初は、父母の婚姻要件がありましたが、H21(2009).1.1からの改正施行では、父母の婚姻要件は
 はずれました。

下記の感じで検討していきます。
① 出生当時の日本の国籍法を検討する
② 出生当時の法例・法の適用に関する通則法を検討する
③ 国籍を得ている国の出生当時の国籍に関する法律を検討する
④ 女性の場合、外国人と結婚した当時の法律により、夫の国籍を得、夫の国籍を選択したか、どうか
⑤ 外国人の父親の認知を受けた当時の法律により、父の国籍を得、父の国籍を選択したか、どうか
⑥ 届出で済むか、就籍手続きをするか、帰化・国籍(再)取得なのか、国籍確認訴訟なのか

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(5) 国籍再取得の届出 (国籍法第17条第1項 )

国籍法第12条の規定により不留保によって日本国籍を喪失した者のうち,
日本に住所を有する20歳未満のもので,日本国籍を取得しようとするもの。
20歳に達するまでの間に届ける。

わかりやすい例として、
父は日本人、母はフィリピン人で、双方の国で婚姻が成立。
婚姻成立後、実母が、フィリピンで子供を出産したものの、
出生届けの期限までに、在フィリピンの日本大使館など日本側に届け出なかったケースです。
出生届けをしなくても、父が日本人なので、子供は、いったん、日本国籍を得た後、
喪失したことになります。
なぜか?というと
国籍法12条で、
「出生により外国の国籍を取得した日本国民で、国外で生まれたものは、
戸籍法 の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、
その出生の時にさかのぼって日本の国籍を失う。」
となっています。
「国籍留保の届出」は、
二重国籍として生まれた子どもで、日本国籍を希望する場合は、
この届け出をすることになります(意思表示ができない子ども本人に代わってその親権者)。
この国籍留保の届出は、原則として出生より3ヶ月以内に行うことになっています。
行わなければ、出生時に得ていた日本国籍を、失うことになります。

それでは、基本的な考え方を見てみましょう。
実際は、事案内容、子の本国法や親の本国法、等々によって、
細かく見ていくことになります。

A 基本的なパターン
2013年8月 日本人男性と中国人女性が、中国で創設的婚姻。
2013年11月 中国で実子が生まれる(中国籍を得た)。
          日本側に出生届はしていない(出生日に日本国籍を得るも、出生届・国籍留保の届をしないで、
          出生日から3ヶ月を経過してしまったら、日本国籍を喪失したことになる。
          又、外国で出生した日本人の子は、出生日から3ヶ月経過すると、出生届もできなくなる)
2014年2月  日本で報告的婚姻。
2014年6月 母子が入国し在留。

2013年8月が婚姻成立日となるので、
実子は、夫婦の嫡出子推定が適用されるため、認知届はできない、意味が無い。
国籍再取得届となる。

B 少しひねった感じのパターン
2012年10月 豪州男性と日本人女性が、豪州で創設的婚姻手続。
2013年12月 豪州で実子が生まれる(豪州国籍を得た)。
          日本で報告的婚姻手続をしていない(法律違反である)。
          日本側に出生届をしていない。
2015年12月 豪州で離婚。
2016年1月 日本人女性は実子を連れて帰国。実子の在留資格「定住者」。

国籍再取得届をする際の基本的な考えは?
届け出は、入国後、6ヶ月後から1年後ぐらいが望ましい。
生活の安定感をみるから。
法定代理人は誰になるのか?
(豪州では、
子の日常の保護と監督に関する権利義務は、離婚後も共同行使。
子の長期的な福祉に関する権利義務は、父母が独立して行使。
父親にも入国してもらい行使してくれれば良いが、難しいときは、
長期的な福祉に関する権利義務を、母が独立して行使する、
との解釈する余地があるかもしれない)

C ちょっと難しいパターン
2010年8月 日本人男性と中国人女性が、中国で創設的婚姻手続。
2011年7月 中国で実子が生まれる(中国籍を得た)。
         日本で報告的婚姻手続をしていない(法律違反である)。
         日本側に出生届をしていない。
2014年10月 中国で離婚(監護権の直接行使は、協議で母親となる)。
2015年12月 中国人女性が「技術・人文知識・国際業務」、実子は「家族滞在」で入国。
国籍再取得は可能か?
在留資格「家族滞在」の場合ですが、
そもそも母親の在留資格から一時的な滞在と判断されることがあり、
そうすると、その実子は、母親に連れてこられている、との解釈になるので、難しい。
在留資格「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」なら(別表第2の在留資格)。
実子は嫡出子推定されるが、出生証明書に父親の名前が入っていれば、望ましい。
(出生公証書だと、入らないかもしれない。
そうすると、出産時に医者が発行する証明書に記載されているか)
母親に親権があることの証明。
(中国では、父母の監護権の共同行使。
ただし、協議又は裁判で片方の親の直接行使の取り決めはできる)

参考 渉外離婚の子供の親権について

どこの国の法律に基づくのか?
父母と子の本国法が、同一の場合は、子の本国法
父母のいずれか一方の本国法と子の本国法が同一の場合は、子の本国法
その他の場合は、子の常居所地の法律

参考 外国人の常居所の認定
1年以上 別表第2 の在留資格
5年以上 外交、公用、短期滞在を除く、別表第1の各表の在留資格

提出方法
届書を作成し,添付書類を添えて,法務局又は地方法務局に届け出る。
日本国籍を取得しようとする者が15歳以上のときは本人が,
15歳未満のときは親権者,後見人などの法定代理人が,自ら出頭してしなければなりません。
届書を提出するため出頭した者が,本人又はその法定代理人本人であることを確認するため,
本人であることを証する書面が必要なので,
在留カード,旅券,運転免許証,健康保険証,母子健康手帳等を持参。
添付書類・部数
(1)本人出生時の父又は母の戸(除)籍謄本
(2)出生証明書,分娩の事実を証する書面等
(3)外国人登録原票記載事項証明書、在留カード、住民票又は旅券等
 各1通
(注)
外国語で作成された書面には,日本語の訳文を添付してください。
日本国籍を取得しようとする者の住所を証する書面として,
住民票の写し,旅券の写し等を提出してください。
法定代理人が届出をする場合は,
法定代理人の資格を証する書面として,
戸籍謄本,法定代理人の指定等に関する裁判書謄本,
その他外国人の本国における証明書等を提出してください。

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折本 徹 行政書士事務所

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